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(大阪 m.m.さんからのご質問)
理想的な蒸しパンを目指しているのですが後一歩のところで止まっています。駿河屋さんのレシピのものでも上手くいきません。コンビニなどで販売されているような非常にきめの細かい蒸しパンを作りたいのですが、何処がいけないのでしょうか、
(神戸 F.R子さんからのご質問)
今まで何度も蒸しパンを作ってきましたが、それなりにきめ細かく仕上がってはいると思います。しかしスーパーで買い求めたものと比較すると遠く及びません。 どうすればきめの細かい蒸しパンが出来るのでしょうか・・・・
この他このような類似する「蒸しパン」へのご質問が、十数名の方からも頂いております。
<回答834>


大阪 mmさんからのご質問
<配合欄>
卵 (中)2個
砂糖  80グラム
薄力粉 60グラム
ベーキングパウダー 大さじ1
サラダオイル 20cc
牛乳 20cc

<行程>
1. 薄力粉、ベーキングパウダーを篩っておく
2. 卵、砂糖をよくまぜ、電動ミキサーできめ細かく泡立てる。
3. 2に1を加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる
4. ミルクとオイルを素早く混ぜ、堅さを整え、蒸気のあがった蒸し器で蒸す(中くらいの蒸気)
   蒸し時間10分

<質問>
(R.kさんからのご質問)
味の点では自分でもかなり上手くできたと思っているのですが、今一しっとり感ときめの粗さにがっかりしています。
泡立ても細かいホイッパー(電動)を使用し、かなりキメの細かい状態に仕上がっているのですが、蒸し終えると市販のスポンジケーキ状態の目の荒いものとなっています。
コンビニなどで販売されているきめの細かい蒸しパン(蒸しかすてら)に仕上げるには何が足りないのでしょうか。
いろいろとサイトで調べたり質問したりしているのですが、さっぱり要領を得ません。
駿河屋さんのサイト回答集をみて、ここなら疑問を解決してくれるものと期待しています。どうかアドバイスをお願いします。

(F.R子さんからのご質問)
今まで何度も蒸しパンを作ってきましたが、それなりにきめ細かく仕上がってはいると思います。しかしスーパーで買い求めたものと比較すると遠く及びません。以前駿河屋さんに教えて頂いた、卵黄比率の多い配合で作りました。以前のものよりもきめ細かく充分に美味しいのですが、私の腕が悪いのか知れませんが、もっときめ細かく仕上げたいのですが、・・・

(他には)
卵と砂糖を湯煎に掛け砂糖が完全に溶けてから目の細かいホイッパーで泡立てる。泡立て具合は、垂らしてみてしばらくはもっこりとしている状態、完全には沈み込まない。→篩っておいた粉をいれ9分通り混ざった頃に溶かしておいたバターとミルクを入れる。
さっと混ぜてからカップに分け、10分間蒸し上げる。かなり目の細かい生地なのですが出来上がりには、大きな泡が出来ています・・・・

<プロの悩み・・・>
最近このようなご質問が非常に増えて参りました。市販品と遜色のないお菓子を作りたい、プロレベルのお菓子を作りたいことは解るのですが、ご家庭内でハイレベルなお菓子を作ることには環境的にも無理があると思っています。
まず、プロが使用している特殊ともいえる材料(蒸し物用乳化剤)が入手出来なかつたり、その菓子専用の道具が市販されていなかったり、目的のお菓子に欠かせない特殊技法が公開されていない等など、出来ない理由は山ほどもあるのです。
正直なところ、このようなプロレベルを追求するご質問等に、何処まで公開すれば良いのか私自身迷っています。これは決して自己満足ではなく、日々技術習得に努力を重ねておられる技術者への思いからです。
今回のご質問に応答できる技術者は果たして何人おられるのか・・・多分十数%にも満たないと思うのですが、反対にこの回答を知りたがっているプロの方も多いと思うのです。
菓子職人の世界では、「教える」という甘えたコトバは皆無なのです。知識・技術は自分の頭で考え、不断の努力から少しずつ習得していくのが常識なのです。たとえ菓子学校に通われたとしても、広くて浅い知識は習得できても、その道のプロにははるか遠く及びません。
「技術は自己の研鑽から会得するものである」、このような思いの中での回答とご理解下さい。

<アドバイス>
配合・製造過程には何ら問題はありません。
蒸す前の状態は非常にきめ細かいのに、蒸し上がるとキメの粗いものになっている。。。このことも良く理解できます。

mmさんと類似するご相談が他に多く来ております。

結論から申しますと、コンビニ・スーパーなどで売られているきめ細かな蒸しパン・蒸しケーキは乳化剤無しには出来ませんし、その製法も一般のレシピとはかなり違う物なのです。
<オールインミックス製法>といいます。
一般の製法では卵を泡立てた後で粉を入れるのですが、これでは生地はきめ細かいものでも、蒸し工程中で生地中の泡が結合し大きくなり、きめの粗い蒸しパンとなってしまいます。
この現象を防止するのが蒸し物用乳化剤なのです。乳化剤なしにはきめの細かい蒸しパンは不可能です。
乳化剤には、蒸しパン用以外にもパンやスポンジなどきめ細かい仕上げに用いられるもの、滑らかな仕上げに利用されるものなどいろんな用途に適した乳化剤が作られております。

乳化剤を使いたくない方には・・・・
自然界では、卵黄に入っているリン脂質のレシチンが乳化剤の働きをしますので、これを利用することでも比較的きめ細かい生地を作れますので、卵黄を多めに加えることできめの細かい蒸しパンに近づけることも可能です。でも乳化剤を使用したものには及びませんが・・・・
最近の健康志向で添加物を全く用いずにお菓子作を造りたいとのお気持ちも分かるのですが、今回の蒸しパンに関して言えば「コンピニ蒸しパン」のあの感触に近づけるには<蒸し物用乳化剤>の助けが必要となります。

<蒸し物用乳化剤>の作用についてはWeb検索でも容易に調べることが出来ますので詳しくは述べませんが、大雑把に言えば水と油を仲良くさせる添加物です。
この乳化作用で、油脂を含む生地は(水分と油脂分とが分離せずに)安定するわけです。
この安定状態は加熱されても壊れず、細かい気泡も(合体することなく)そのままの状態が完成まで保たれます。
<蒸し物用乳化剤>を添加されていない気泡は加熱されることによって壊れ、気泡同士が合体し大きくなり、生地そのものが不均一になりキメも荒くなってしまいます。
ご質問にもありますように、乳化剤を添加されていない気泡は加熱されることで壊され、結合し大きな気泡と化し、加熱後のキメの粗い蒸しパンとなる原因でお判りいただけると思います。

また配合以外にも非常にきめ細かい蒸しパンの製法についてお訪ねがありました。

<プロからのアドバイス2>
それでは私の経験の範囲内でお答えします。
スーパー・コンビニで売られている蒸しパン・蒸しケーキ・蒸しカステラは製法が全く違っており、多分どのレシピサイトにも掲載されていないでしょうし初めて聞く言葉だとおもいます。
まさにプロしか知り得ない技法で<オールインミックス製法>というものです。

<オールインミックス製法−家庭バージョン−>

 (もっとも基本的な配合)
全卵または卵白   250 グラム
グラニュー糖  125 グラム
小麦粉     100 グラム
乳化剤     15 グラム

バター     20グラム
牛乳      40cc

バター・牛乳以外の材料をミキサーボールに入れ、高速で5〜10程攪拌、泡立てます。
泡立て具合は100%とします。その後低速で生地の均一化を図ります。
泡立てと均一化が完了すれば、バターを加え牛乳で堅さを調整し、紙カップに充填し10〜15分ほど蒸します。
これだけの単純な製法ですが、単純なだけに高度な経験が必要となり、熟練度によって仕上がりがまるで違ってきます。
一般に乳化剤は入手しにくい材料ですが、Webサイトを検索すれば、手にはいるかとおもいます。
また、この製法<オールインミックス製法>は技術的には単純なものですが、その場の環境によってタイミングが異なり、側で指導しない限り無理もあり、紙面ではお答え出来ませんのでご理解ください。

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