HOME > 和菓子の教室 > 膨張剤に戻る (参考:酒饅頭の酒種について )

レシピ 酒饅頭 酵母パン

 和菓子技術者になるための必須知識

 参考:糀を使用した酒饅頭・麹パンの種について
レシピ 酒饅頭 酵母パン

 酵母を使用した酒饅頭や麹パンには酵母菌からの元種が必要

麹菌=多種多形の胞子からなる生菌類の一種で、アミラーゼを含み澱粉を糖に変える性質を利用して酒や味噌・醤油の製造に利用。酵母菌は何処にでも存在する菌だが、酒や発酵生地に適したものを探し当てるのは大変な仕事だとされる。
こうじ(麹・糀)=米・麦・豆・などを蒸して、これに麹菌を繁殖させたもので、酒・醤油・味噌などを製造するのに用いる。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
酒饅頭や酵母パンになくてはならない元種は、日本独特の工程により作られる。
行程は蒸し上げた米飯を、麹菌の繁殖に適した温度下で、麹を振り掛け培養室で寝かせてやると、麹菌がデンプンを糖分に変え種=こうじ(麹・糀)といわれるものになり、この糀を樽に移し替えて発酵を促すと酒となる。
またこの種にデンプンを加え発酵させると酒饅頭や酵母パンに用いる元種といわれるものになり、酒饅頭や酵母パンの膨張剤となる。
こうして出来た膨張剤は、イースト菌で仕上げたものと比べものにならない位、芳醇な香りのパンや酒饅頭に仕上がる。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
厳しいメンテナンス:
酒饅頭や酵母パンをつくるには、職人が自身で酵母の培養を行なってきた。
糀菌から元種に仕上げるには、非常に長時間(7日〜20日)を要し、雑菌の混入を防ぎ、また培養温度管理にも注意を払うなど大変な労力を要する。
さらに仕上がった元種から、いつも安定した酒饅頭や酵母パンを作り続けるには、元種の維持にも細心の注意が必要で、専門の職人が着きっきりで世話をしなけれぽならない。この世話を怠ると、たちまちバクテリア・雑菌に冒されるなどして醗酵に変化をきたして、元種が使い物にならず失敗してしまう。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
維持管理に際しての諸注意
1.酵母の培養を行なう室内は、常に新鮮な空気を流通させて、しかも元種の温度を常に16度C程度に保たせておかなければならない。
2.雑菌・ほこり
元種に使用する器具類は、埃その他の不純物の付着を絶対に避け、蒸気で20分以上で殺菌するなど、常に清潔な器具を使用するように注意しなければならない。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
現在、このような元種による酒饅頭や酵母パンは一般につくられていない。その理由は工程が非常に複雑であり、所要時間に長時間を要す「元種式」の製法を用いなければならず、簡易な「直ごね法」が不可能なことにある。
最近では、元種の複雑な製造工程をはぶき、専門メーカーによって作られた酒の素やイーストなどを用いて、比較的簡単に製造されるようになってきた。しかし風味の点では、元種を用いた酒饅頭・酵母パンに比べて遜色は免れない。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
参考:酒種の製法
糯(もち)米   1500g
水         2000g  米粒がつぶれない位のお粥を作り冷やしておく。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
上記の冷えたお粥を清潔なカメに入れ下記の元種と糀を加え、よく攪拌しサラシ布を三重にして蓋をし、紐でしっかりと密封する。
  糀: 200g  元種: 250g
レシピ 酒饅頭 酵母パン
これを26度に保ち20〜22時間くらい経過すると、大きな泡とともに苦み・渋み・辛みの知り混じった強い酒の香りの酒種が出来る。
レシピ 酒饅頭 酵母パン
酒饅頭の配合:
上記の酒種 3.2リットル
薄力粉    4500g
中力粉    2000g
レシピ 酒饅頭 酵母パン
捏ねつけ方法は、パン生地に準じるが大きく異なる点は、双方の小麦粉を混合しフルイに通したものから2000gを残して捏ねつけるようにすること。
捏ねつければ生地を26度に保温し生地の発酵を促す。
捏ねつけたときの種から5〜6倍に膨張し柔らかい種になったときに、残しておいた2000gの小麦粉を加えて、バンチングの要領でもみ混ぜる。この生地が5倍くらいに膨張すると酒饅頭の生地が完成する。


レシピ 酒饅頭 酵母パン




不許複製(著作権は宇治駿河屋にあります)
創業明治43年 御菓子処・宇治駿河屋[うじするがや] 
Copyright (C) 2002 07 16 UjiI Surugaya ,Ltd.