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生菓子を作りたくて質問します。
生菓子白あんをもっと白く炊き上げたいのですが、どうすればよいのか分かりません。練り切りの白生地に使った場合、生成り色がやや強くツヤに乏しく、和菓子屋さんのものに比べていかにも野暮ったくくすんだ感じになってしまいます。販売されている白あんには純白に近いものもあるようで、プロのようには出来ないとしても、素人にも可能な工夫はないものでしょうか。EYさん(回答済み)
<回答46>


<プロからのアドバイス>

我々菓子屋でも煉りきり餡を白く仕上げるのには、かなりの経験が必要でこの技術者も年々少なくなってきております。

白あんとは云え、普通に炊きあげると加熱段階で澱粉が色焼けを起こし飴色になります。
白系の豆(大手亡・白インゲン・白小豆など)でも、加熱することにより豆が本来持っているアクによって飴色に変わります。
このアクの沈着を押さえるために色々な手法が用いられますが、主なものは煮汁(アク)を何度も捨て去ること(=渋きり)にあります。
通常2、3度の渋きりを行いますが、これもちょうど良いタイミングで行わないとアクが抜けません。
しかし白く仕上げるために、アク抜きを何度も繰り返せば、豆本来の味も捨て去ることになります。

豆は柔らかく、じっくりと蒸らす程、豆本来の味が生き美味しいのですが、この蒸らすという過程で褐色化して参ります。
ですから豆を蒸らす過程を省略することによって褐色化を防ぐことも可能ですが味、食感は格段に落ちます。

また餡の風味(味、香り)を犠牲にしても良いのでしたら豆用の漂白剤の使用で白く仕上げることが出来ます。

煮豆工程中に豆用の漂白剤を使用することで、褐色化を防ぐことが出来、格段に白く仕上がります。
しかし漂白剤は、かなりのアルカリ度ですので、中和作業に失敗しますとまったく品物になりませんので慣れない方にはお勧め出来ません。

大抵の菓子屋さんでは、この漂白され中和された生白餡を専門の生餡業者から仕入れて、各店独自の配合で白あんに仕上げられています。
この漂白生餡で仕上げた煉りきり餡は、色焼けはさほど生じませんので、しっかりとした煉りきり餡に仕上がります。

当店では、このような専門業者の漂白生餡を使用せず、全てを自家製餡しておりますのでどうしても真っ白な餡には仕上がっておりません。

でもこれでは、回答にはなりませんので、私が素人さんでも出来る製法をお伝え致します。

薯蕷芋を使用することで格段に白い煉りきり餡が出来ます。

1.蒸らし工程を出来るだけ短くして色焼けを防止する。
前日の豆を漬け込む水は30度くらいの温度で漬けると吸水が進み煮上げる時には平均に煮上がり蒸らし時間も短縮できる。
2.渋きりは、3回行う。
1回目:煮始めてから最初の沸騰時。2回目:豆が8割くらい膨れたときにする。3回目:豆が目一杯膨らんだときにする、この時に使用するのは水ではなく熱いお湯を用いる。

3.蒸らし始めてから豆の具合を確かめ、指で簡単に崩れる位になれば餡こしに移る。水が透き通る位になれば充分に堅く絞って餡炊きにうつる。

4.餡炊きは、水を一切入れずに餡の含んでいる水分だけで炊きあげる。

5.餡が普通に仕上がる堅さになれば、ここで摺り下ろした薯蕷芋を餡の3〜5%位加えて再び煉っていく。

これからが大変な作業になりますが、注意して仕上げて下さい。
摺り下ろした薯蕷芋が入ることで、非常に焦げやすくなりますので火加減には注意して下さい。
焦がさないように、また焦げ付かさないようにしっかりと煉ってください。

仕上げは普通の餡よりも少し柔らかめに仕上げて下さい。薯蕷芋が入ることで仕上がりの堅さが変わり、かなりしまります。
堅さ加減は、作業環境によりかなり違って来ますので、経験値から次回の参考にすることですね、

お試し下さい。

(参考までに)
お尋ねの雑誌などに掲載されているきれいな生菓子イメージは、撮影用に作る場合が殆どですね、
もちろん写真でみると本物以上にきれいに写りますが、彩りを鮮やかに見せるものは味を度外視して作り上げます。


(ご返事)
ご返事はありませんでした。

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