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お菓子材料の知識

 和菓子技術者になるための必須知識

 ここでは、餅米(糯米・もちごめ)・粳米(うるち)から出来る数々の菓子諸粉についての解説です。

米粒の構造は、一番外側が果皮、その次が外胚乳、その中側が糊粉層からなる、白米は大部分が澱粉で、蛋白質7%以内、脂肪8%と多少の燐酸である。
米には糯(モチ)米と粳(ウルチ)米とがあり糯米の用途としては、餅粉・白玉粉・味甚粉なにどがあり、粳米は、上新粉・上用粉・かるかん粉などの用途がある。

 餅米加工品の特製を知りなさい。

糯米(もちごめ)や粳米(うるちまい)を原料として出来上がってくる材料には、アルファー化状態のものと、ベーター化状態のものとがある。菓子技術者たるものとしてアルファー化 あるいはベーター化とはどのような状態をさすのか位は理解していないと満足な創作活動は出来ない。
でんぷんを膨潤または溶解した糊の状態のまま、急速に乾燥させたものがアルファ型でんぷんです。(参考ページ)
    ベーター型製品(生粉)=餅粉 白玉粉 上用粉 などがある。
    アルファー型製品(糊化状態のもの)=寒梅粉 味甚粉 落雁粉 道明寺 上南粉などがある。
同じ原料からかなり違った性質のものが出来上がる訳だが、これは製造工程での加熱・乾燥処理により、性質の違ったものが出来上がる。
ベーター型製品は、水洗い→ 胴搗・粉砕 → シフター → 乾燥の順で行われるが、アルファー型製品の場合は左記の行程中にさらに熱や火を通す作業が加わる。
結果としてアルファー型製品はそのまま食せるが、ベーター型製品は加熱処理をしなければ食すことはできない。次に個々の性質をのべる。

 餅粉(濡粉) <ベーター型>

餅粉の品種は多種多様であり、また産地によりその性質もかなり違うので、実際に使って見なければその材料の特製はわからない。餅粉のつくり方は、濡米を手早く水洗いして乾燥し、これを石臼で胴づきしたもの(あるいはミルで粉末状にしたもの)で、主に関西方面で用いられる。純白度は白玉粉より少々劣るが風味は非常に優れている。
また乾燥処理された餅粉のほかに未乾燥の生粉がある。これは日もちしない欠点はあるが、乾燥餅粉よりは風味がよく、粘りが強い製品ができる。

 白玉粉 <ベーター型>

製法工程は餅米をよく水洗いして、吸水したものをザルにあげ石臼で水びきにした後さらに水で晒す。これをナイロン製の袋に入れて圧搾機にかけ、適当の硬さになるまで脱水しこれを切断機にかけ薄く細断する。
薄く切ったものを平板あるいはスダレに広げて、天日乾燥または火ホイロにかけて乾燥する。製品の良否は白色で光沢があり、粒子のそろっているものが優良品である。また冬期に寒晒し(寒中に干したもの)したものが優れている。
白玉粉は、求肥や雪平などに白く仕上げたい場合や着色仕上げのお菓子に用いられる。

 道明寺種 <アルファー型>

製法は、濡米(もち米)を水につけたものをザルに上げて、完全に水切りしたものをせいろで蒸し上げ、これを目の細かい金網ワタシに広げて乾燥し、石臼で荒びきしてフルイにかけて粒をそろえ、大粒(1/2、半割れ)、中粗、小粗(1/5割れ)の三種に仕上げる。昔は寒中につくったが、現在は年間を通してつくられる。しかし、寒中のもののほうが良質である。
(余談だが、道明寺種は、大阪府南河内郡の道明寺という寺でつくられた非常食飯で、後にこの名が付けられた。)

 道明寺粉 <アルファー型>

道明寺種 を粉砕し、焙煎機で煎ったもので数種類の細かさがある。

 味甚粉 <アルファー型>

みじん粉には、焼き味甚粉・煎り味甚粉などが有り、打ち物類を始め種々の製品に用いられる。原料は、前述同様に濡米を使用する。
焼き味甚粉の製法は、濡米を蒸し上げて餅につき、この餅を薄く延して適当の大きさに切り、これを煎餅型に入れて白焼きにしたものを、ひいて粉末にする。
煎り味甚粉は、濡米を蒸し上げてバラバラ状に乾燥し、これを煎って粉末状にひいたもの。

 寒梅粉 <アルファー型>

焼きみじん粉とも呼ばれる。糯米を水洗い、水浸し後、蒸して餅にする。これを色がつかないように焼き上げ、粉末にしたもので、主に打ち菓子、豆菓子に使用される。寒梅の名は、ちょうど寒梅が咲くころに新米を粉にするところからいわれる。

 上南粉 <アルファー型>

上南粉(極みじん粉)極みじん粉とも呼ばれている。
道明寺種を粉砕し、200度前後の焙煎機で少しずつ煎りあげたもので打ち物菓子によく使用される。

餅米からは種々の原料が派生するが、いずれの粉を使うにせよ、ベーター型(餅粉・白玉粉)と、アルファー型(寒梅粉・味甚粉・道明寺種・上南粉など)との性質を熟知する必要がある。当然だが、アルファー型の代用に、ベーター型を用いても、性質が異なるので意味をなさない。

 上用粉、上新粉、新粉、米粉、かるかん粉 <ベーター型>

上用粉、上新粉、新粉、かるかん粉の原料は粳米である。
米の種類と米粉製品の種類はモチ米製品と同じぐらい有るが、山間部や砂質地で採れた米は粘性がなく品質が落ちる、また破砕米と言われる政府売り渡し古米を原料とするものも良品粉とはいえず、仕入れるときは充分にテストすることがたいせつである。
製粉工程は、原料米を水洗いしてから製粉機にかけるが、原料米に水が浸み込まないよう手早く完全に洗うことが肝要。水が浸み込むと乾燥に長時問を要するのみならず風味が落ちる。
製粉機は、ロール式、胴突きおよび石臼などが用いられるが、胴突きか石臼のものの方が熱を持たないので米の風味がよく残り良い。(過熱させると粉が焼けて品質が落ちる)。ごく微粉のものをつくるときは、水洗い後、充分乾燥せず湿ったまま石臼か胴突きで製粉し、そのあと乾燥すると非常に細かい粉ができる。これが上用粉として使われている。
品質を見分ける方法としては確実な方法はなく、試作を繰り返して最良の物を選ぶようにしなくてはならない。品質を確かめる簡便な方法としては、砂糖など一切加えずに粉と水だけで新粉だんごを蒸し上げ、風味・舌触り・水分保持などを時間の経過毎に確かめるとよい。

上新粉上用粉との品質区分はなく同一のもので、関東では上新粉、関西では上用粉とよんでいる。新粉米粉)は上用粉よりも粒子は粗く仕上がっており、食感も幾分かザラついているが、だんごなどには適している。関西では新粉と呼ばず米粉と呼んでいる。
かるかん粉は製粉後、乾燥せずに仕上げた粳米の生粉であるが、それだけに米の風味が生かされているが日持ちがしないので注意が必要である。最近では乾燥された「かるかん粉」という奇妙なものも出回っている。

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